※この記事は【家族信託シリーズ 全10回】の第6回です。
今回は「家族信託をすると税金はどうなるの?」という疑問に対し、相続税・贈与税・固定資産税などの基本を、わかりやすく解説します。
はじめに:家族信託=節税ではない?
家族信託は「相続税の節税になる」と思われがちですが、実は節税を主目的とする制度ではありません。
家族信託はあくまで、「認知症による財産凍結の防止」や「資産のスムーズな承継」「家族トラブルの予防」を目的とするものです。
ただし、税金の知識がないまま家族信託を進めると、思わぬ課税を受けることもあります。
税金に関係する3つのタイミング
家族信託における税金は、主に以下の3つのタイミングで発生する可能性があります。
それぞれのケースについて、順番にわかりやすく見ていきましょう。
① 信託契約を結んだときの税金
● 贈与税はかかる?
基本的に、委託者=受益者(=親が自分の財産を自分のために預ける)という構図であれば、贈与税はかかりません。
たとえば…
例:母が自宅不動産を息子に託す → 母が自宅に住み続け、母が利益を得る(受益者)
この場合、形式的には名義が息子(受託者)に変わりますが、母の利益のために使われるため、贈与には該当しません。
⚠️注意:受益者が別の人の場合は課税の可能性
もし「父の財産を、子どもAが管理し、子どもBが受益者(利益を得る人)」というような場合、
贈与税がかかる可能性が高くなります。
● 不動産の信託登記:登録免許税がかかる
不動産を信託に入れる場合、法務局で「信託登記」を行います。
このときかかる税金が「登録免許税」です。
計算式:不動産の固定資産税評価額 × 0.4%
例:評価額2,000万円の不動産 → 2,000万円 × 0.4% = 8万円
● 不動産取得税は基本的に非課税
名義が形式的に子どもに移るため、「不動産取得税がかかるのでは?」と心配されますが、
家族信託による移転は無償・目的限定の移転とみなされ、原則として非課税扱いになります(都道府県の判断により対応が異なるケースあり)。
② 信託財産を管理している間の税金
● 所得税は「受益者」が納税義務者
家族信託中に得られる利益(たとえば賃料収入など)は、原則として受益者の所得となります。
たとえば…
アパートを信託に入れ、子どもが管理(受託者)、父が利益を得る(受益者)
→ 家賃収入は父の所得として課税される(確定申告が必要)
● 受託者の通帳に入っても税務上は「受益者のもの」
よくある誤解:
「受託者(子ども)の通帳に家賃収入が入るから、子どもに課税される?」
→答え:NO!
税務上は「誰のために管理しているか」が重要です。
受託者の通帳に入っていても、受益者のためであれば、受益者の所得として扱われます。
● 固定資産税は「登記上の名義人」が納税義務者
信託した不動産の固定資産税は、通常「受託者(名義人)」に納付書が届きます。
ただし、税負担は契約で「受益者が支払う」ことも可能です。
③ 信託終了時の税金(相続時)
信託が終了するタイミングには、次のようなケースがあります。
委託者(親)が亡くなったとき
受益者が変わるとき
契約期間満了
このときに関係するのが「相続税」です。
● 信託終了後、誰に財産が渡るかによって相続税が発生
家族信託においても、**最終的に財産を取得した人(帰属権利者)**が相続税の課税対象になります。
たとえば…
親(委託者・受益者)死亡 → 子どもAが不動産を取得
→ 子どもAが相続税の納税義務者
このように、家族信託をしても相続税が“免除”されることはありません。
あくまで、「誰にどれだけの財産が渡るか」で相続税の計算は行われます。
● 税務署への申告も必要
家族信託の内容によっては、税務署に対して贈与税・相続税の申告や照会が必要となる場合があります。
とくに、不動産が絡むケースは、事前に税理士等に相談しておくことが安心です。
「節税になる」は本当?誤解されがちな3つのポイント
家族信託は**節税ではなく、「財産管理の仕組み」**として活用することが大切です。
よくある質問Q&A
Q. 家族信託と相続税対策は関係ないのですか?
A. 直接的な節税効果はありません。ただし、遺産分割トラブルを防ぐことで、結果的に相続手続きがスムーズになり、費用面でも合理的になる可能性はあります。
Q. 固定資産税は誰が払うべきですか?
A. 原則は登記上の名義人(受託者)に請求されます。ただし、契約内容で受益者が実質負担するように定めることも可能です。
Q. 税務署に届け出は必要?
A. 信託の内容によっては税務署への申告・照会が必要なケースもあるため、税理士などの専門家への相談がベストです。
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関連リンク(シリーズ記事への内部リンク)
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