※本記事は全10回構成の【相続の基本シリーズ】の第3回です。
「もしも」に備えるために、家族の未来を守る情報をわかりやすく解説していきます。
📚 本シリーズの構成(全10回)
3.相続人がいない?わからない?戸籍の調べ方と“相続人不存在”の対処法(←今回)
4.遺産分割協議書の書き方と注意点
5.相続放棄・限定承認の判断と具体手続き
6.相続税ってどうやって決まるの?しくみと節税の基本をやさしく解説
7.生前贈与と相続の違いとは?賢く使い分けて節税につなげよう
8.相続でよくある失敗と対策10選
9.公正証書遺言のすすめと具体的事例
10.遺言・家族信託と後見制度の違いと併用メリット
1章:相続人って誰?まずは基本をおさらい
相続人とは、亡くなった人の財産を受け取る権利がある人(法定相続人)です。順位は以下の通り。
▽ 法定相続人の優先順位
配偶者(常に相続人)+子ども(第1順位)
子どもがいない場合:配偶者+直系尊属(父母など:第2順位)
それもいない場合:配偶者+兄弟姉妹(第3順位)
上記すべてがいない:相続人がいない=“相続人不存在”
配偶者と子どもがいなければ、直系尊属が、さらにいなければ兄弟姉妹が相続人になります。
2章:相続人がいない、わからないケースとは?
現代では以下のような理由で、相続人がすぐには分からないケースも増えています。
独身で子どももおらず、親や兄弟もすでに亡くなっている
離婚・再婚・養子縁組など家族構成が複雑
長年連絡を取っていない親族がいる
認知していない非嫡出子が存在している可能性がある
相続放棄されたあと、次順位が不明
こうしたときは、「戸籍」を確認して相続人を正しく把握する必要があります。
3章:戸籍って何?相続で戸籍が大事な理由
戸籍は家族のつながりを証明する大事な書類です。相続人調査に必要な「戸籍謄本」や「除籍謄本」「改製原戸籍謄本」は以下の通りです 。
4章:戸籍の調べ方(収集のしかた)
相続手続きを進めるには、「被相続人(亡くなった人)」の戸籍をすべて取り寄せて、相続人を確定させる必要があります。
▽ 基本のルール
出生から死亡までのすべての戸籍が必要
本籍地の市区町村で取得する
郵送でも可能だが時間がかかる
▽ 取得に必要なもの
請求書
請求者の本人確認書類(免許証など)
手数料(1通あたり450円程度)
返信用封筒(切手付き)
▽ どの戸籍を集める?
1.最新の戸籍(死亡の記載があるもの)
2.その前の戸籍(転籍していれば複数)
3.出生時までさかのぼる
場合によっては昭和・大正時代の戸籍が必要で、読み取りにくい「手書きの旧漢字」も登場します。
5章:戸籍から相続人を確定するポイント
戸籍からは次のような情報を読み取ります。
子ども(実子・養子・非嫡出子)の有無
配偶者(婚姻の有無)
父母・兄弟姉妹の生死
認知の事実(婚外子の相続権)
注意すべき点は、「養子縁組」や「認知」の有無です。
たとえば…
例:内縁の妻と30年暮らしたが、籍は入れていない → 配偶者ではないので相続権なし
例:婚外子を認知していれば相続権あり → 認知がなければ原則相続権なし
6章:専門家に依頼するメリット
戸籍の収集と調査は意外と手間がかかります。プロに頼むと安心・スムーズです。
✨主なメリット
何通も戸籍を取り寄せる労力 → 弁護士や司法書士に任せられる
戸籍が消失している場合の対応も可能(滅失証明など)
代襲相続や婚外子など、見落としがちな相続関係もチェック
戸籍以外の財産調査や相続の流れまで一貫支援
💵 費用の目安
行政書士:3万~8万円
司法書士:5万~10万円(登記含むケースもあり)
弁護士:10万円~(調停対応など含む)
7章:相続人が“いない”ときの対応
相続人が本当に誰もいない場合、「相続人不存在(ふそんざい)」として法的な手続きを行います。
▽ まず家庭裁判所に申立て
不動産や預金などの管理をするために、「相続財産管理人(そうぞくざいさんかんりにん)」の選任申立てを行います。
管理人には弁護士や司法書士が選ばれることが多く、遺産の管理・清算・債務の整理などを行います。
▽ 一定期間後、国庫へ帰属
公告期間を経ても相続人が現れない場合、遺産はすべて国のもの(国庫)になります。
ただし、特別な関係性のある人が「特別縁故者」として財産を請求できる可能性もあります。
▽ 特別縁故者とは?
内縁の配偶者
長年介護をしていた人
被相続人の事業に長く関わっていた人 など
8章:実際にあった相続人不存在トラブル事例
▶ 事例①:遠い親戚の空き家が放置されていた
空き家の近隣住民が「誰が相続するのか分からない」と行政に相談。
結果、相続人不存在とされて管理人が選任されたが、すでに老朽化が進み、解体費用だけで200万円以上に。
▶ 事例②:遺言がなかったことで相続人探しに半年
独身の叔父が亡くなり、遺産の分け方が不明。
戸籍をたどっても、兄弟姉妹の子(甥・姪)まで調査が必要になり、全員の協議がまとまるまで半年以上かかった。
▶ 事例③:養子縁組されていた事実が見落とされる
亡くなった父が、実は若い頃に養子縁組していた事実が、古い戸籍を調べて初めて判明。
想定していた相続人と違う人が登場し、やり直しになった。
9章:まとめ──“見えない”相続人への準備が大切
相続人が「いない」「わからない」状態は、財産を放置してしまうリスクがあります。
特に不動産の場合、名義変更をせずに放置すると、老朽化や固定資産税の負担がのしかかってきます。
✅ 今からできる備え
家系図や家族構成をまとめておく
自分の戸籍を見て、気になる点があれば専門家に相談
相続人がいない人は「遺言書」で寄付や譲渡先を決めておく
📨 相続や不動産でお困りの方へ
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