【第1回】相続ってそもそも何?誰が何をもらえるの?― 図解で学ぶ“お金と家”の引き継ぎ方。知らないと損する相続の基本 ―

query_builder 2025/07/04
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🧭 はじめに:このシリーズは全10回で「相続の全体像」がわかります!

この記事は、全10回で構成される「相続の基本」シリーズの第1回目です。これから相続について学びたい方、親の老後が心配な方、自分の将来に備えたい方のために、できるだけわかりやすく丁寧に解説していきます。

相続は、亡くなった方の財産や権利義務を家族が引き継ぐ重要な制度です。しかし、「まだ先の話」と思って手をつけないままにしておくと、いざというときにトラブルになるケースが多いのも事実です。





📚 本シリーズの構成(全10回)

1.相続ってそもそも何?誰が何をもらえるの?(←今回)

2.「争族」になる前に!遺産分割の基本とトラブル回避法

3.相続人がいない?わからない?戸籍の調べ方と“相続人不存在”の対処法

4.遺産分割協議書の書き方と注意点

5.相続放棄・限定承認の判断と具体手続き

6.相続税ってどうやって決まるの?しくみと節税の基本をやさしく解説

7.生前贈与と相続の違いとは?賢く使い分けて節税につなげよう

8.相続でよくある失敗と対策10選

9.公正証書遺言のすすめと具体的事例

10.遺言・家族信託と後見制度の違いと併用メリット




第1章:そもそも「相続」とは?


「相続」とは、亡くなった人(被相続人)の財産や義務を、残された家族など(相続人)が受け継ぐことをいいます。

相続というと「お金持ちの人だけの話でしょ?」と思いがちですが、実際にはそうではありません。

預貯金、不動産、自動車、家財道具、保険金…亡くなった方が持っていたほぼすべての財産が対象になります。また、プラスの財産だけでなく、借金やローンといったマイナスの財産も引き継ぐことになります。




▶ 相続は“ある日突然”やってくる


相続は、被相続人の死亡によって自動的に開始されます。つまり、「いつ」「誰が」「どんな状況で」亡くなっても、その時点から相続は始まるのです。

たとえば…

  • 突然の事故で亡くなった親の不動産の名義がそのままになっている

  • 認知症の親が亡くなり、兄弟間で財産の取り分でもめてしまう

  • 借金を抱えていた親が亡くなり、子供が相続放棄に追われる

これらは実際に多くの家庭で起きている事例です。




第2章:相続できる人は誰?法定相続人の基本


日本の法律では、「誰が相続人になるか」が民法で明確に決まっています。これを「法定相続人(ほうていそうぞくにん)」と呼びます。

相続人になるには、次のような条件があります。





 相続人の順位(誰が優先的に相続するか)

優先順位

相続人の種類

説明

第1順位

子(実子・養子・認知された子)

子が亡くなっている場合は、その子(=孫)が代襲相続します

第2順位

直系尊属(父母、祖父母)

第1順位の子がいない場合のみ相続権が生まれます

第3順位

兄弟姉妹

第1順位・第2順位の相続人がいないときのみ。兄弟が亡くなっていれば甥や姪が代襲相続




💍 配偶者は常に相続人

夫や妻は、上記の順位とは関係なく、常に相続人になります。つまり、どの順位の相続人がいたとしても、配偶者は必ず財産を受け取れるのです。

例:

  • 夫が亡くなった → 妻と子が相続人

  • 子がいない → 妻と父母(または祖父母)が相続人

  • 子も親もいない → 妻と兄弟姉妹が相続人



第3章:法定相続分とは?誰がどれだけもらえるの?


法定相続人が誰かがわかったところで、次に気になるのが「誰がどれだけもらえるのか?」という点です。これを定めているのが「法定相続分」です。

法定相続分とは、相続人が複数いる場合に、それぞれの取り分(割合)を法律で定めたものです。





💡 主なパターン別の法定相続分

相続人の組み合わせ

配偶者の取り分

他の相続人の取り分

配偶者+子(1人)

1/2

子:1/2

配偶者+子(2人)

1/2

子:1/4ずつ

配偶者+父母

2/3

父母:1/3(両親とも健在なら1/6ずつ)

配偶者+兄弟姉妹

3/4

兄弟姉妹:1/4(兄弟が複数なら人数で等分)

子どもだけ(配偶者なし)

子:全財産を等分


配偶者のみ(他に相続人なし)

配偶者が全財産


※ 養子や非嫡出子(婚姻外の子)も相続権を持っています。





▶️ ケーススタディ:配偶者+子ども2人の場合

例えば夫が亡くなり、妻と子ども2人が残されたケース。

この場合、法定相続分は以下のようになります:

  • 妻:1/2(全体の50%)

  • 子どもA:1/4(全体の25%)

  • 子どもB:1/4(全体の25%)

「じゃあ、この割合で分ければいいんだな」と思いがちですが、実はここからが相続の“落とし穴”です。法定相続分は「目安」であり、実際にどう分けるかは「遺産分割協議」で全員の合意が必要なのです(詳細は第2回にて解説)。




第4章:遺言書があるとどう変わる?


さて、ここまでで「法律で決まっている取り分」の話をしてきましたが、実はこれには“上書き”できる仕組みがあります。それが「遺言書」です。




✍️ 遺言書があれば基本的にそちらが優先


被相続人(亡くなった方)が有効な遺言書を残していた場合、基本的にその内容が優先されます。

たとえば:

  • 「長男に自宅を相続させる」

  • 「妻にすべての財産を相続させる」

  • 「次女には現金300万円を渡す」

といった記述があれば、法定相続分ではなくその通りに財産を分けることが可能です。




⚠️ ただし“遺留分”には注意


一方で、遺言書にすべてを任せると「他の相続人が全くもらえない」という事態になる可能性もあります。

そこで登場するのが「遺留分(いりゅうぶん)」です。

遺留分とは、相続人に最低限認められた取り分のことで、法定相続人のうち「配偶者」「子」「直系尊属」には認められています(兄弟姉妹にはない)。




▶ 遺留分の割合(ざっくり理解)


  • 法定相続分の 1/2(子や配偶者など)

  • 父母や祖父母など直系尊属のみ → 法定相続分の 1/3

たとえば、全財産を長男に渡す遺言があったとしても、次男には「遺留分減殺請求」を通じて自分の取り分を主張する権利があります。




第5章:相続財産の種類とは?借金も相続されるの?


相続というと、「現金や不動産などの“プラスの財産”をもらうこと」と思われがちですが、実際には**“マイナスの財産”も引き継ぐ可能性がある**点に注意が必要です。




💰 プラスの財産(積極財産)


種類

具体例

現金・預貯金

銀行口座の残高、タンス預金など

不動産

自宅、賃貸用マンション、土地など

動産

車、貴金属、家具、コレクションなど

株式・債券

上場株、投資信託、国債など

生命保険金

受取人が「本人指定」であれば相続財産には含まれないが、指定がなければ相続対象に



💸 マイナスの財産(消極財産)


種類

具体例

借金

住宅ローン、消費者金融からの借り入れなど

未払い債務

税金・公共料金・カード利用残高など

保証債務

連帯保証人になっていた借金など

相続財産には、こうしたマイナスの資産も含まれるため、状況によっては「相続しない(相続放棄)」という判断が必要になるケースもあります(詳しくは第5回で解説)。



第6章:相続の手続きの流れ


では、実際に身内が亡くなったとき、どのような流れで相続の手続きを進めることになるのでしょうか? 以下に一般的な流れをまとめます。




🕐 相続の大まかな流れ(死亡から完了まで)


時期の目安

手続き内容

7日以内

死亡届の提出、火葬許可の取得

2週間以内

年金や健康保険の資格喪失手続き

1か月以内

相続人の確認(戸籍収集)、遺言書の確認

3か月以内

相続放棄・限定承認の検討と家庭裁判所への申述

4か月以内

被相続人の所得税(準確定申告)の提出

10か月以内

相続税の申告・納税(基礎控除以上の遺産がある場合)

1年以内目安

遺産分割協議・不動産の名義変更、預金の解約、財産の分配など



📝 重要書類チェックリスト


相続に必要な主な書類は以下のとおりです:

  • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの全履歴)

  • 相続人全員の戸籍謄本・住民票

  • 遺言書(ある場合)

  • 不動産の登記事項証明書

  • 銀行の残高証明書

  • 車検証(自動車がある場合)

  • 株式や保険契約書の控え など

これらを集めるだけでも数週間かかることがあるため、事前に準備できることは早めに取り組んでおくことが肝心です。




第7章:相続人が複数いるときはどうする?遺産分割協議の進め方


法定相続人が複数いる場合、財産の分け方を「遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)」で話し合って決める必要があります。これは、法定相続分どおりに分ける義務はなく、相続人全員の合意で自由に決められるという柔軟な制度です。




🔑 遺産分割協議とは?


遺産分割協議とは、法定相続人全員が集まり、「誰がどの財産をどのように相続するか」を話し合って決める手続きのことです。以下のようなことを話し合います。

  • 誰が不動産を相続するか

  • 預金をどう分けるか

  • 借金は誰が負担するのか

  • 誰が名義変更などの手続きを行うか



📝 遺産分割協議書の作成


協議が成立したら、その内容を「遺産分割協議書」にまとめて全員が署名・実印で押印します。この書類がないと、不動産の名義変更や銀行口座の解約ができないことが多いため、非常に重要です。




◾ 遺産分割協議書に記載する主な内容


  • 被相続人の氏名・死亡日・本籍

  • 相続人全員の氏名・住所・続柄

  • 分割する財産の詳細(不動産、預金、動産など)

  • 誰がどれを相続するかの明記

  • 実印による押印・印鑑証明書の添付



⚠️ よくあるトラブルと対処法


トラブル事例

対処法

兄弟姉妹で意見が合わない

専門家(弁護士・司法書士)を交えて調整する

書類に不備があり名義変更ができない

登記簿や戸籍の確認を早めに行っておく

一部の相続人と連絡がつかない

内容証明郵便で通知、最悪は不在者財産管理人の申立て



第8章:相続放棄・限定承認とは?借金を引き継がない方法


「相続=得するもの」と思っていると、危険です。なぜなら、借金も相続財産に含まれるため、知らずに受け継ぐと“債務まみれ”になる可能性があるからです。




🚫 相続放棄とは?


相続放棄とは、相続人が「一切の財産を受け取らない」と家庭裁判所に申し出る制度です。相続放棄をすれば、プラスもマイナスも何も引き継ぎません。




◾ 相続放棄の流れ


1.被相続人が死亡した日を起点に 3か月以内 に手続き

2.家庭裁判所に「相続放棄の申述書」を提出

3.受理されれば、法的に“初めから相続人でなかった”ことになる




⚠ 相続放棄における注意点


  • 預金を引き出したり、不動産を処分したりした後は放棄できない可能性あり

  • 相続人が複数いる場合、他の人にその分の負担がかかる

  • 放棄後でも「遺品整理」や「火葬手続き」などは可能



🔄 限定承認とは?


限定承認は、「プラスの財産の範囲で借金も返します」という制度。つまり、財産が借金より多ければその分を相続し、借金が多くてもそれ以上の負担をしなくてよいという“中間的な方法”です。





◾ 限定承認の特徴

項目

内容

利点

財産が多ければ得をする/債務超過でも損しない

手続きの難易度

高い(全相続人の同意、複雑な書類が必要)

利用の頻度

実際には少ない(制度はあるが専門的知識が必要なため)



第9章:相続税のしくみと節税の基本


相続で気になるもののひとつが「相続税」。
「うちにはそんなに財産ないから大丈夫」と思っている方も要注意です。相続税は場合によっては数百万円単位になることもあり、事前にしくみを知っておくことが大切です。




💰 相続税のかかる人・かからない人


まず、すべての相続に税金がかかるわけではありません。

相続税には「基礎控除」という非課税枠があり、これを超えた場合にのみ課税されます。





◾ 基礎控除額の計算式

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3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)


たとえば、法定相続人が3人いれば、

→ 3,000万円 +(600万円×3)= 4,800万円

これを超えない財産であれば相続税はかかりません。






💸 課税対象の財産とは?

対象になるもの

含まれるか?

現金・預金

土地・建物(時価評価)

株式・投資信託

自動車・宝石・美術品

生命保険(一定条件あり)

借金・葬式費用

❌ 差し引き対象

※ 生命保険は「法定相続人1人あたり500万円まで非課税」という特例あり。




✅ 節税の基本3原則


1.生前贈与を活用する

  • 暦年贈与:年間110万円まで非課税

  • 相続時精算課税制度:最大2,500万円まで非課税(要届出)

2.配偶者控除を最大限使う

  • 配偶者は「1億6,000万円 or 法定相続分」のいずれかまで非課税

3.不動産評価のテクニック

  • 建物は固定資産評価額、土地は路線価ベースのため、現金よりも評価が下がりやすい



⚠ 相続税は“申告義務”がある


たとえ税金がかからなくても、一定の財産を相続した人は申告が必要になるケースがあります。10か月以内に申告しなければ、延滞税や加算税がかかるため注意が必要です。




第10章:まとめ〜相続は「ある日突然」やってくる〜


ここまで、相続の基本について広く、そしてなるべくやさしく解説してきました。

相続は、法律・税金・人間関係のすべてが絡む“総合格闘技”のようなテーマです。特に高齢の親を持つ40代~70代の方にとっては、**いずれ自分にふりかかる“現実的な課題”**です。




👣 いまやっておくべき相続対策3ステップ


1.親の財産と家族構成を“見える化”する

  • 通帳、保険、不動産の一覧をざっくり把握しておく

2.本人の意思を確認しておく

  • 財産の希望、誰に何を残したいか、葬儀や介護のことなど

3.早めに専門家に相談する

  • 税理士・司法書士・行政書士・不動産会社など、早期相談がカギ




📣 次回予告

次回【第2回:「争族」になる前に!遺産分割の基本とトラブル回避法】では、実際にトラブルになりやすい遺産分割の進め方を、実例を交えて詳しく解説していきます。





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