【第2回】自筆?公正証書?秘密証書?3つの遺言書の違いと選び方(全10回シリーズ:家族を守るための「遺言書」講座)

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■ はじめに:「どの遺言書が一番いいの?」という悩み

前回は「遺言書ってなぜ必要か?」という基本をお伝えしました。
今回は、「では実際に書くとしたら、どの種類の遺言書がよいのか?」という点にフォーカスします。

遺言書には大きく分けて、以下の3つの形式があります。

遺言書の種類

読み方

特徴

自筆証書遺言

じひつしょうしょいごん

自分で書く

公正証書遺言

こうせいしょうしょいごん

公証役場で作成

秘密証書遺言

ひみつしょうしょいごん

内容は秘密、存在は公証人が証明

この3つにはそれぞれメリット・デメリットがあり、状況によって「向き・不向き」があります。
中学生にもわかるように、例を交えて解説します。



■ ① 自筆証書遺言(じひつしょうしょいごん)

● 特徴

  • 自分で紙に書いて作成

  • 費用はほとんどかからない

  • 一人で手軽に作れる


● メリット

  • 手軽に書ける(紙とペンがあればOK)

  • 費用がほとんどかからない

  • 内容を自由に決められる


● デメリット

  • 書き方を間違えると無効になる

  • 家で保管すると紛失や改ざんのリスク

  • 死後に家族が気づかないこともある


● 2020年から法改正で「法務局保管制度」も登場!

自筆証書遺言を法務局で保管できる制度が始まりました(令和2年7月〜)。
保管されていれば、家庭裁判所の「検認」も不要となり、手続きが簡単になります。



● 事例:70代男性が自筆で遺言書を作成

埼玉県のBさん(76歳男性)は、妻と長男、次男がいます。
「長男は実家で介護をしてくれた。長男に自宅を残したい」と考え、ノートに遺言を書きました。

【Bさんの遺言内容(例)】

「自宅は長男に相続させる。預金は次男に相続させる。2024年5月1日。署名:B 太郎」

→ 残念ながらこの遺言は無効でした。
なぜなら、全文を手書きしていなかった(住所が印刷)、日付が曖昧だった、印鑑を押していなかった…などの不備があったのです。



● 向いている人

  • とにかく手軽に作りたい人

  • 内容をすぐ変更したい人

  • 法務局の保管制度を利用できる人


■ ② 公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)

● 特徴

  • 公証役場で、公証人が作成

  • 証人2人の立ち会いが必要

  • 原本が公証役場に保管される


● メリット

  • 形式ミスがない(100%有効)

  • 偽造・紛失の心配がない

  • 家庭裁判所の「検認」手続きが不要


● デメリット

  • 費用がかかる(約2〜5万円程度)

  • 証人を2人立てる必要がある

  • 公証役場に行く手間がある(出張対応も可能)


● 事例:80代の女性が公正証書で遺言作成

越谷市在住のCさん(82歳女性)は、自宅の不動産と預金を相続する子どもたちが不仲なことを心配していました。
Cさんは司法書士と相談し、公正証書遺言を作成。
「自宅は長男に、預金のうち300万円は長女に」という内容にまとめ、円満な相続が実現しました。

手続きもスムーズで、家族間のもめごともなし!
→ 公正証書遺言の信頼性の高さが発揮された好例です。



● 費用の目安(例)

財産総額

手数料の目安

500万円以下

約11,000円

1,000万円以下

約17,000円

3,000万円以下

約23,000円

※別途、司法書士など専門家に依頼する場合は報酬が加わります。



● 向いている人

  • しっかりと法的に有効な遺言を残したい人

  • 家族間のトラブルを防ぎたい人

  • 高齢や認知症へのリスクが心配な人


■ ③ 秘密証書遺言(ひみつしょうしょいごん)

● 特徴

  • 本人が内容を記載し、封をしたうえで公証役場に持参

  • 公証人が「確かに存在する」ことを証明する


● メリット

  • 内容を誰にも見せずに済む(秘密が守られる

  • パソコンで作ってもOK(手書き不要)


● デメリット

  • 作成方法が複雑

  • 家庭裁判所の検認が必要

  • 中身が無効でも公証人はチェックしない

→ 現在はあまり使われない方式です(全体の1%未満)。



● 向いている人

  • 内容を他人に絶対見られたくない人

  • 特殊な事情で秘密性が最優先される人


■ 3つの遺言書の比較表(まとめ)

項目

自筆証書遺言

公正証書遺言

秘密証書遺言

作成の手軽さ

◎(自分で完結)

△(公証役場に行く必要あり)

△(手間が多い)

費用

◎(ほぼ無料)

△(数万円)

△(公証人手数料あり)

信頼性

△(不備の恐れ)

◎(確実に有効)

△(無効リスクあり)

秘密性

△(家族が見る可能性)

△(証人が見る)

◎(内容は非公開)

家庭裁判所の検認

必要(※保管制度なら不要)

不要

必要


■ 結論:おすすめは「公正証書遺言」

安心・確実な方法で遺言を残したいなら、公正証書遺言がもっともおすすめです。
とくに不動産を所有していたり、相続人同士の関係が複雑だったりする場合は、トラブル回避の効果が高いです。

費用や手間はかかりますが、あとで家族が争うリスクを減らせるなら安い投資とも言えるでしょう。



■ まとめ:遺言書の「型」を知って、自分に合った形を選ぼう

遺言書には「絶対にこれが正解!」という形はありません。
重要なのは、自分の財産と家族構成に合った形で、確実に意思を残すことです。

次回は、**「遺言書が無効になる落とし穴」**について、事例を交えて詳しくお伝えします。



■ 次回予告【第3回】

📘 「無効になる遺言書の落とし穴7選!やってはいけない書き方」
せっかく書いたのに無効!?よくあるミスを徹底解説します。



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